本研究会について

作業文脈学とは

人における作業(人が生活する上での合目的的な運動・動作・行動、あるいは行為のすべて)を内容(コンテンツ)として、その文脈(コンテクスト)を深く探求することにより、人そのものを理解する学問体系です。

研究会の目的

あらゆる生活は、人が作業することで成り立っています。しかし、人の作業は生活に密着し、当たり前のように行われるため、普段意識しないことが多いと思います。その意識していない作業の、その文脈(前後関係、情況、背景、環境など)に光を当てることで、作業そのものの本質が理解しやすくなると考えています。そして、作業の文脈を読み解くことで、人自体の特性にも迫ることができると考えています。

本研究会では、人が作業する(作業する人)という文脈を医学、工学、物理学、人類学、考古学、社会学、保健学、心理学、教育学、哲学などの様々な学問を通して明らかにすることを目的としています。

さらに、Context(文脈)+ology(~学)=Contextology(文脈学)も学問体系として新たに提案することも、本研究会の目的としています。

研究会の意義

近年は殺伐とした世の中となり、人と人との関係も昔とは随分と異なってきました。一方、テクノロジーがどれほど進歩しても、そのテクノロジーを操るのは人であり、あらゆることは結局、人に帰属します。

地球の歴史からみれば、人が栄えたのはほんのわずかな時間です。しかし、その人の歴史は、昔の人のあらゆる作業のつながりによって築き上げられたことは間違いありません。人のあらゆる作業を、時間・空間を超越して多面的な角度から研究することは、新しい視点で、または、忘れ去られた視点で人を理解できるきっかけを与えてくれるかもしれません。

人が作業する(作業する人)、それが結局人が人であることを如実に表していると思います。

本研究会では、人が作業する(作業する人)という観点を、その文脈から捉え直すことで、いろいろな考え方でもって、地球の歴史における人の存在の意義を探究したいと考えています。

  • 研究会代表 犬丸敏
  • 研究会副代表 小島久典(大阪公立大学